社会人向けオンライン学習サービスを展開する株式会社Schooでは、多様な職種のメンバーが積極的にユーザーリサーチを行っています。その一方で、分析に至るまでの工数やスピードに課題を抱えていました。今回は、プロダクトデザイナーの丸山さんと田中さんに、toitta導入の経緯と、導入後に生まれた社内の変化について伺いました。
Schooで高まるユーザーリサーチの意識
── まずはお二人の役割や、社内でのリサーチ体制について教えていただけますか?
丸山さん:法人向け管理ツールのプロダクト改善を担当しています。その中で、人事・育成担当者様へのインタビューを通して、課題やニーズの把握を進めています。
田中さん:新規事業である研修プロダクトの顧客体験設計やマーケティング関連のデザインを担当しています。リサーチをする際は、研修の利用者様や研修を企画される人事担当者様双方にインタビューしています。
──Schooではリサーチの重要性が社内全体に浸透していると伺いました。その背景には何があるのでしょうか?
丸山さん:サービス改善の質を高めるためには、ユーザーの課題を深く理解することが不可欠だと全社的に認識されています。そのため、デザイナー以外にも営業やコンテンツ企画のメンバーもリサーチに関わる機会があります。また、カスタマーサクセス部門から相談がきて「じゃあリサーチをしましょうか」となることも多いです。
田中さん:学習体験はユーザー目線で客観的に捉える必要がありますが、自分の主観に引きずられることもあります。そうした時にインタビューで生の声を直接聞くことで、本質的な課題に気づくことができると思っています。

ペルソナから生まれた社内の共通言語
──丸山さんは、全社的なペルソナ作成プロジェクトを推進されたそうですね。どのような経緯で始まったのでしょうか?
丸山さん:以前は、いろいろな部署がそれぞれインタビューをしていて、異なるユーザー像を作り上げてたんですよね。みんながユーザーファーストで考えて行動はしてるんですけど、施策を考える際に前提認識の齟齬により混乱が生じていました。その課題を解決するため、全社共通のペルソナを作成することになりました。
──このペルソナ作成は具体的にどのように進めていかれましたか?
丸山さん:法人向けサービスの管理者様や利用者様へインタビューを行い、その後、各部署のメンバーに参加を募って、ワークショップを何度も実施しました。20人くらいにインタビューをして、その過程で私自身もユーザー理解が深まりましたね。
田中さん:ペルソナのおかげで、プロジェクト初期段階から「私たちがターゲットとするユーザーは誰か」をチームで共通認識として持てるようになりました。
丸山さん:ペルソナが新卒研修にも組み込まれるなど、日常的に使われる共通言語になったことは大きな成果だと感じています。
文字起こしの沼にはまり、分析に集中できない
── その後、toittaを導入された理由をお聞かせください。
丸山さん:ペルソナ作成時の膨大な文字起こしや切片化作業に苦労した経験から、導入を決めました。トライアルで文字起こしと切片化の精度と効果を充分に感じ、社内でも導入を推進しました。
── それまでは、どんなプロセスでリサーチされていたんですか?
丸山さん:音声を文字起こしツールにアップロードして、誤字脱字を手動で修正。その後さらにMiroで切片化し、最終的に社内の共有ツールにまとめるというプロセスをほぼ1人で担当していました。実査後、分析に入るまで時間がかかっていたため、「これはどんな内容だったっけ?」と思い出しながら分析をするという状況でした。

toitta導入で、リサーチが事業スピードに追いついた
──toitta導入後、分析スピードやチーム内での情報共有にはどんな変化がありましたか?
丸山さん:文字起こしと切片化を自動化したおかげで、以前は1時間のインタビューに対して準備におよそ3時間かかっていましたが、toittaを導入後は文字起こしの確認や切片調整を含めても約1時間で完了できています。
田中さん:私が担当している新規事業では意思決定のスピードが速いため、以前は分析までにかなり時間がかかっていたことが課題でした。分析結果をもっと早く共有できれば、その分早く施策検討や改善にも活かせたと思うのですが、スピーディーな共有が難しい状況でした。でも、toittaを使い始めてからは、例えば9名分のインタビューをしても1ヶ月半程度で分析が終わるので、事業のスピード感に合うようになりました。
レポート機能が支える、熱量のある情報共有
──その他、toittaでよく活用されている機能はありますか?
丸山さん:レポート機能には助けられていますね。以前はインタビュー全体をメンバーに読んでもらう必要がありましたが、今ではレポートを見ればポイントがすぐに掴めますし、詳細を確認したければ元データや動画にすぐアクセスできます。
田中さん:私もレポート機能で、インタビュー直後の熱量が高い状態を即座に共有できることに価値を感じています。「こういう課題が出ている」「こんな声があった」といったことを、正式な分析結果を待たずに共有することで、チームの士気が高まったり、次のアクションに素早くつなげたりできるようになりました。
丸山さん:やっぱり熱量が高いうちに情報共有するのは重要ですよね。ユーザー理解がチーム全体に深く浸透し、具体的な施策に活かされやすくなったと実感しています。

──最後に、今後toittaをどのように活用していきたいですか?
丸山さん:インタビュー結果を社内の資産として蓄積し、横断的に活用できる環境を整えていきたいです。過去のデータを活用し、ナレッジを社内全体で共有できればと考えています。
田中さん:さらなる機能の充実に期待しています! その上で、toittaが社内のリサーチ文化の定着にも貢献できるのではと思っています。
──ちなみに、今話に上がった整備や資産化についての新機能を考えていまして…(プロトタイプを見せるtoittaチーム)
丸山さん:いいですね!Schooでは顧客との打ち合わせや商談の場など、インサイトが詰まっている場がたくさんあると思っているんです。それらをデータベース化してくれたら最高です。
田中さん:これはすごいですね。「どこで聞いた話だっけ?」とならないんですもんね。期待しています!

ユーザーに真摯に向き合い、より良いサービスを展開するために、リサーチを組織文化として根付かせる取り組みを推進していた株式会社Schoo。ペルソナを社内の共通言語として育てている姿が印象的でした。また、toittaの活用によって分析準備の工数が大幅に削減され、本質的なユーザー理解に集中できる環境が整いつつあります。これにより、チーム全体のスピードと施策の質が向上し、事業を前に進める大きな推進力となっていることがお話を通して伝わってきました。今後のさらなる活用にも期待が高まります!(当日ご紹介したtoittaの新機能に関しては、こちらのブログ記事をご確認ください。)
撮影:小野奈那子