KJ法®とは? - リサーチ用語集
KJ法®とは
KJ法®は、文化人類学者である川喜田二郎によって提案された発想法です。「親和図法(アフィニティダイアグラム)」に似ており、世界的に流通している手法です。
フィールドワークで得られた定性データを統合して事象の全体像を見出したり、ブレインストーミングで発散させた多数のアイデアを整理し収束させる際によく用いられます。
KJ法®の実施手順
KJ法®は、データをたんに分類するのではなく、以下のステップを経て深い着想を導き出します。
1. 単位化(切片化)
テーマに沿って集めた定性データやアイデアを、1つずつカードに書き出します。
2. 図解化(KJ法A型)
カードをホワイトボードや模造紙に広げ、似た要素(親和性の高いもの)を近づけてグループにします。このとき、軸をつくらずにあくまでカード同士の親和性だけからボトムアップでグループを組み上げることが大切です。自分の常識や既成概念、フレームワークを用いないようにします。
それぞれのグループには内容を表すラベル(見出し)をつけます。
グループとグループを似たもの同士でより大きなグループにまとめたり、因果関係のあるカードやグループを線でつないだりします。小グループ・中グループ・大グループといった構造や因果関係を組み立てます。
3. 叙述化(KJ法B型)
図解されたグループや関係性をもとに、文章として書き起こします。
「データをして語らしめる」と「渾沌をして語らしめる」
川喜田二郎は著作のなかで、KJ法®における2つの重要な概念に言及しています。
1. データをして語らしめる
分析者の仮説にあてはまるようにデータを説明するのではなく、データからしか言えないことを起点に判断を組み立てよ(データをして語らしめる)という戒めです。「語らせる」はデータが勝手に結論をしゃべるということではなく、分析者がデータの解釈を歪めないという意味です。
川喜田二郎は分析に臨む姿勢を「おのれを空しくして、データの語りかけに最も自然に従ってまとめるのでなければならない」としています。
- 「ありあわせの理論」「既成概念」でまとめない。「こういう結果が出てほしい」という希望的観測でまとめない。「このデータ群が何をもっとも自然に主張しているか」を問う。
- トップダウン(枠組み先行)を避け、ボトムアップで構造を立ち上げる。
2. 渾沌をして語らしめる
KJ法®はもともと文化人類学の研究のなかで体系化された手法で、あつかう定性データ(質的データ)は民族の風習、文化、環境など、そもそも軸が異なって比較できない混沌とした要素をひとつのモデルに統合していく試みです。
そのため、場にあるカードをわかりやすい軸やフレームワーク、先行研究の概念で整理しようとすると、データに含まれる新しい発想の種を捨ててしまうことに直結します。
KJ法®で作業をはじめた直後は、大量のカードが無選別に散らばっており、全体の構造が見えづらいです。このとき混沌を嫌って、整合的で分かりやすい説明を早い段階でつくらないことが重要です。
未分化で矛盾も多い対象をひたすらにボトムアップで組み上げ、混沌を表現するように組み上げることで現象全体を正しく理解すること(渾沌をして語らしめる)ができます。
KJ法®と親和図法
KJ法®と親和図法は混同されがちですが、厳密には別の手法です。KJ法®は川喜田二郎氏が提唱した思想と手順を守って行うもので、正規の手順は株式会社川喜田研究所および公認コンサルティング会社より指導を受けることができます。
KJ法®は、株式会社川喜田研究所の登録商標です。
参考資料
KJ法® 株式会社川喜田研究所 – KJ法®の解説|セミナー・研修
(監修者)
KJ法®も親和図法も手順のなかでグルーピングをするので「分類」だと思われがちですが、川喜田二郎氏によると「分類ではなく統合」である、とされています。同じ軸で比較する行為である「分類」に対して、そもそも軸が異なって比較できないものを統合していく作業である、とされています。
日本ウェブデザイン株式会社
代表取締役CEO 羽山 祥樹
HCD-Net認定 人間中心設計専門家。toittaエバンジェリスト。使いやすいプロダクトを作る専門家。担当したウェブサイトが、雑誌のユーザビリティランキングで国内トップクラスの評価を受ける。2016年よりAIシステムのPdMとUXデザインも担当。NPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事。
X(Twitter): @storywriter