ユーザビリティテストとは? - リサーチ用語集
ユーザビリティテストとは
ユーザビリティテストとは、開発中のプロダクトやサービスを実際のユーザーに使用してもらい、その行動や発言の観察から使いやすさ(ユーザビリティ)を評価する手法です。評価対象のプロダクトや、そのプロトタイプを用意し、ユーザーにあらかじめ設定した課題(タスク)をしてもらい、ユーザーの行動や発言を観察します。
UXデザイン・UXリサーチにおける代表的な手法のひとつであり、UI(ユーザーインターフェース)や機能の改善点を明らかにすることを目的としています。
ユーザビリティテストの実施手順
ユーザビリティテストは一般的に以下のステップで進行します。
1. 計画
テストの目的(リサーチクエスチョン)、対象ユーザー、使用するタスク、評価の視点を明確にし、計画書を作成します。
2. 準備
テストに参加してもらうユーザーの選定・依頼(リクルーティング)、機材や場所(会議室など)の確保、モデレーター(進行役)用ガイドや質問紙などの資料を作成します。本番前に予備テストを行うことも大切です。
3. 実施
ユーザーにタスクを実行してもらいます。観察者は分析を加えず、ありのままの行動を観察・記録します。
4. 分析
得られたデータを整理し、問題点を抽出・構造化します。
5. 報告
結果をまとめ、関係者に共有します。
ユーザビリティテストの手法
たんにユーザーに使ってもらうだけでなく、目的に応じて以下のような手法や指標が用いられます。
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タスク プロダクトを利用するにあたって主要な「タスク(課題)」をいくつか設定しておき、それらをユーザーに実行してもらいます。
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プロトタイプ(プロトタイピング) 完成品だけでなく、開発の早い段階からプロトタイプ(試作品、コンセプトモデル、シナリオ、スケッチなど)を用います。
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発話思考法 操作中に頭の中で思ったことをその場で口に出してもらう方法です。ユーザーがどこで戸惑ったか、間違った時にどう考えたかなど、認知プロセスを明らかにできます。
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観察と記録 ユーザーの行動や発言をメモやビデオカメラで記録します。操作にかかった時間、エラーの回数、マニュアル参照回数などを記録したり、調査によってはマウスの動き、キーボード入力、視線の動き(アイトラッキング)を追跡したり、筋電計(身体負荷の測定)のような生理学的指標を記録したりすることもあります。
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専門家評価との併用 効率的なテストを行うために、事前に専門家による評価(ヒューリスティック評価や認知的ウォークスルーなど)を行い、主な課題点を洗い出してから、ユーザビリティテストを実施することもあります。
分析手法の例:NEM(Novice Expert ratio Method)
分析手法の一つとして、日本の老舗UXコンサルティング会社 U’eyesDesign が提唱したNEM(Novice Expert ratio Method)があります。初心者(Novice)と熟達者(Expert)の操作時間の比率を比較し、熟達者でも時間がかかっているのか、初心者特有の問題なのかを分析し、改善すべき箇所を特定します。
ユーザビリティテストの実施環境
ユーザビリティテストは会議室や現場ですることができます。近年ではリモートでもよく実施されます。まずは気軽にチャレンジしてみるとよいでしょう。
大手のUXコンサルティング会社では、より設備の整った専門の「ユーザビリティラボ」と呼ばれる専用の実験室を持っていることもあります。テストを行う部屋と観察を行う部屋(モニタールーム)に分かれ、ハーフミラーやビデオカメラ、録音機材などが完備されています。
「ユーザビリティテスト」と「ユーザーテスト」
ユーザビリティテストは「ユーザーテスト」と呼ばれることもあります。ただし「ユーザーテスト」という表記はその語感から「プロダクトではなくユーザーをテストしているように感じる」という指摘があります。テストする対象はあくまでプロダクトであり、ユーザーの能力や知識をテストするものではありません。
日本のUXデザイナー・UXリサーチャーの業界団体であるNPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)は「ユーザビリティテストという表記のほうが望ましい」というガイドラインを出しています。
参考資料
NEM : Novice Expert ratio Method
HCDの重要カタカナ用語の表記について(2013年改訂)|コラム - HCD-Net(人間中心設計推進機構)
(監修者)
UXデザインのいちばん根本的な技術が、ユーザビリティテストとユーザーインタビューです。ユーザーに会い、話を聞き、行動を観察することです。
日本ウェブデザイン株式会社
代表取締役CEO 羽山 祥樹
HCD-Net認定 人間中心設計専門家。toittaエバンジェリスト。使いやすいプロダクトを作る専門家。担当したウェブサイトが、雑誌のユーザビリティランキングで国内トップクラスの評価を受ける。2016年よりAIシステムのPdMとUXデザインも担当。NPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事。
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