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Case Study

【後編】チームの共通言語をつくる。Opportunity Solutions TreeとAIで整えた判断の土台

Mantra株式会社
  • IT・ソフトウェア・SaaS
  • 従業員数:1〜50名
  • 新規事業

英語学習アプリ「Langaku」を展開するMantra株式会社。創業初期よりリサーチ文化を重視し、プロセスを試行錯誤する取り組みを継続していました。その成果もあり、インタビューが開発や事業の意思決定に直結するようになってきたのだとか。後編では、AIによる仮説の幅の広げ方や、オポチュニティ・ソリューション・ツリー(OST)を通じたチームの見立ての揃え方、さらにそうした変化が開発現場にどんな影響をもたらしたかについて、話を伺います。(前編記事はこちらよりご覧ください。

発話データをAIツールを使ってレポート化

──前編では、toittaによってリサーチの効率が改善されたというお話がありました。その中でAIツールとの連携など、さらに進化されたと伺っています。

山中さん:はい。今はtoittaからCSVでデータをエクスポートして、それをGPTのo1 Proで、インタビュー1件ずつのレポートを自動生成しています。分析用のプロンプトをあらかじめ用意していて、そこにインタビュー全文を放り込むと、ニーズやペインを「オポチュニティ」として抽出し、それに紐づく発話も引用付きで出力してくれます。

──それをレポートとしてストックしていくんですね。

山中さん:そうです。Markdown形式でダウンロードして、GoogleのNotebookLMにアップロードしています。NotebookLMは全文だと文脈を理解しきれないんですが、要約済みのレポートならうまく読み解ける。結果的に、過去のインタビューから共通項を探したり、似た傾向のユーザー発言を引き出したりしやすくなりました。これが今のリサーチストックの基盤になっています。

オポチュニティ・ソリューション・ツリーを「Langaku」流に活用

──AIと並行して、オポチュニティ・ソリューション・ツリー(OST)も活用されているそうですね。

山中さん:はい。もともとはKA法で分析していたのですが、二次元マッピングの限界を感じていたんです。オポチュニティ・ソリューション・ツリー(OST) は、最上位には売上などのビジネスアウトカムがあり、その下にプロダクトアウトカム、さらにその下にオポチュニティ(ユーザーのニーズやペイン)が階層的につながっていきます。

──「Langaku」では、それを少しカスタマイズされているとお伺いしました。

「Langaku」でも基本構造は踏襲しているのですが、ひとつ大きく変えているのが「仮説とソリューションの順番」です。一般的なOSTではソリューションが先にきて、その裏付けとして仮説(Assumption)を置くのですが、僕としては逆のほうがしっくりきたんです。ユーザーの状態に対して仮説が立ち、それに対する解決策があるべきだと考えているので、「Langaku」では仮説→ソリューションの順で設計しています。

──OSTのツリー構築にAIを活用されているそうですね。どのような流れで行っているんですか?

山中さん:NotebookLMとChatGPT(o1 Pro)を組み合わせて使っています。NotebookLMでは、事前にテンプレート的なプロンプトを用意しておいて、1つのオポチュニティをどう分解するかをMermaidという記法でテキスト化して出力させています。ただ、一気にやらせると中抜けが起きたり精度が落ちたりするので、あえて小さな単位で部分的に書かせるようにしています。

──出力結果はどう活用されているのでしょうか?

山中さん:アウトカムとオポチュニティだけで構成されたツリーを複数生成し、それらをClaudeで統合しています。また、各ノードにはtoittaで抽出した発言の引用数も付けて、納得感が出るようにしています。その後、ChatGPTのプロジェクト機能にツリーを渡し、各オポチュニティに対して仮説・ソリューション・検証案を出力させています。範囲を限定して出させるほうが、精度も安定していますね。

AIは自分では思いつかない仮説が出てくる壁打ち相手

──AIを分析に取り入れたことで、どんな発見がありましたか?

山中さん:親御さん向けのインタビューを分析していたとき、AIが出してきた提案に驚いたことがありました。たとえば「子どもの学習成果を可視化したい」といったニーズに対して、読解レベルや語彙習得の進捗を見えるようにする、あるいはリーダーボードやバッジなどでモチベーションを高める、というのは割と想像がつくんです。でも、そこに「保護者が目標設定に関わり、マイルストーンごとに応援メッセージを送れる仕組みを入れる」という提案があったんです。正直、ユーザーの発言に直接そういうことは書かれてなかったし、自分では絶対出てこない発想でした。発言の行間から文脈を拾ってきたような内容で、素直に「AIすごいな」と思いましたね。

──まさに、人間だと思いつかない仮説ですね。

山中さん:そうなんです。思い込みの外側から返ってくるので腑に落ちることが多いんですよね。そういう意味でAIは、リサーチの「壁打ち相手」としてすごく優秀だなと。あくまで人が判断するための材料ですが、発想の幅を広げてくれる存在ですね。

プロセスの変化によって、組織としても成長

──この一連の分析プロセスは、「Langaku」のプロダクト開発にどう影響していますか?

山中さん:かなり大きな変化がありました。まず、ユーザーのインサイトと事業ゴールの接続が明確になったことで、開発チーム内の意思決定がスムーズに、かつ納得感を持って進められるようになりました。なぜ作るのかが、言語化された状態で共有されている感じです。

──開発サイクル自体も変わりましたか?

山中さん:変わりました。以前はどこかフワッとしていた優先順位付けが、OSTにより可視化され、結果として開発のスピードも上がりました。定性データが「意味のある構造」に整理されていることで、定量データとも結びつけやすくなり、全体の解像度が上がった感じがあります。

──組織文化にも何か変化は?

山中さん:そうですね、月1回のアイデアソンを再開したんですが、インサイトを起点に議論できるようになって、より実効性のあるアイデアが出るようになった気がします。共通の土台があるから、議論が散らからないんですよね。仮説を立てて、試す文化が回り始めている実感があります。

toittaが分析の起点に

──今のリサーチプロセスの中で、toittaはどういう存在ですか?

山中さん:CSVで出力してAI分析に回す、インタビューのログをストックする、過去のナレッジを検索する。その起点としてtoittaがあるかなと思っています。

──最後に、同じようにリサーチ課題を抱える方々へのメッセージをお願いします。

山中さん:もし、インタビューをしていて「分析が大変で、結局活かせていない」と感じているなら、まずtoittaで効率化してみるのがいいと思います。そのうえで、AIやフレームワークと組み合わせれば、リサーチを元に意思決定をする状態が見えてくるはずです。僕たちもまだ道半ばですが、手間をかけずに構造化・蓄積・再利用ができる体制は、どんなプロダクトにも応用できるものだと思います。


山中さんの取り組みから見えてくるのは、リサーチを単なる「ユーザーの声集め」に留めず、意思決定につなげていく重要性。

また、toittaを起点に、AIツールやフレームワークを活用し、現場で使えるかたちに落とし込んでいく姿勢が印象的でした。「Langaku」を支えるこの進化は、きっと他のプロダクトやチームにとっても、新たなリサーチの可能性を示すヒントとなるはずです。山中さん、ありがとうございました!

撮影:小野奈那子

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