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Case Study

手探りの新規事業を支えたのは、ユーザーの声だった。リコーがtoittaでつくった、意思決定の土台

株式会社リコー
  • 製造業
  • 従業員数:5001名以上
  • 新規事業

複合機やオフィス機器で知られ、近年はデジタルサービスや新規事業領域にも積極的に取り組む株式会社リコー。その中で、業種特有のデータを活用することで、働く人の体験価値向上とサービスの価値の最大化を目指しているのが技術本部 DT技術開発センターです。古海さんは、人材育成領域の新規事業をリーダーとして推進しています。元々はエンジニアであり、リサーチを専門的に学んできたわけではありません。それでも「事業を前に進める意思決定の根拠は、いつもユーザーの声」だと語ります。新規事業の現場でユーザーと向き合う古海さんに、リサーチがどのように事業を前に進める判断の支えになっていったのかを伺いました。

リコーがまだ手がけていない領域で、構想をつくり推進する

── 最初に、古海さんが所属されている部署について教えてください。

古海さん:技術本部のDT技術開発センター、UDI開発室に所属しています。オフィスに内在するデータを利活用することで業務プロセスを支援・高度化するデジタルツイン技術を創出することをミッションとしています。

── その中でも、古海さんのグループはどのような立ち位置なのでしょうか?

古海さん:私たちは、そのデジタルツイン技術を「作る」だけで終わらせず、顧客起点で構想を描きながら、実践・検証を通じて「顧客価値」につながる形まで具体化する役割を担っています。

── 古海さんご自身は、どんなテーマに取り組まれているのでしょう?

古海さん:人材育成を支援する新規事業テーマの企画・推進を担当しています。技術を開発・検証しながら、継続的な事業貢献に繋げることを目標としています。

古海さん
株式会社リコー・古海さん

仮説が覆された、50人インタビュー

── 古海さんがユーザーインタビューに触れたきっかけを教えてください。

古海さん:入社3年目のときに、リコーのアクセラレータープログラム「TRIBUS」に社内起業チームとして参加したのが最初です。もう一人のメンバーと2人で、1年間で約50人にユーザーインタビューをしました。当時はエンジニアとして開発の仕事をしながらだったので、並行して進めていた感じですね。

── 1年で50人……。初めてのインタビューは、いかがでしたか?

古海さん:正直、大変だなと思いました(笑)。いきなり開発に入るのではなく、まずユーザーインタビューから始めよう、というのは外部メンターからも言われていました。朝起きてから何をしますか、といった日常を一つひとつ深掘りしていくような調査でしたね。

── 印象的だったことはありましたか?

古海さん:当時は、香りを使って想像力を引き出したり、リフレッシュを促したりするサービスを検討していました。働くお母さんをユーザーとして想定して、感情に合わせた最適な香りをAIがリアルタイムで切り替えることを考えていたんです。ところが実際に聞いてみると、それはあまり必要ないと。切り替えるタイミングは自分でコントロールしたい、と言われたんです。

── 想定していた価値が、ユーザーの声で覆されたんですね。

古海さん:そうなんです。この経験を機に、ユーザーへの向き合い方が変わった気がします。ただ、同時にインタビューをまとめることの難しさも感じていました。毎回、インタビューの結果をもう一人のメンバーと、自分なりにまとめて共有していたのですが、解釈って人によって変わってしまうんですよね。相手がまとめた内容を見ても「それ、本当にそうだったっけ?」となったり、2人で同じ目線に立てていなかったり……。加えて、新しいメンバーが増えるたびに、なぜその結論にたどり着いたのかを一から説明する必要がありました。インタビューのログを見直して思い出しながら進めることになり、その負担も大きかったですね。

── それでもなお、ユーザーの声を大事にされているのは、何か背景があるのでしょうか?

古海さん:以前、エンジニアとして開発に携わった機能が、想定通りに使ってもらえないということがありました。そのとき、「ユーザーの実際の環境や業務を知らなければ、使われるサービスにはならない」と痛感したんです。この経験が、ユーザーの声を起点に新規事業を考える原点になっています。

KA法との出会いと「これを自力でやるのは大変だ」

── toittaを導入する前は、どんな課題を感じていましたか?

古海さん:ユーザーインタビューはエクセルで管理していて、話しながら自分でメモを取るか、誰かに議事録をお願いするかでした。ただ、メモを取りながらだと、インタビューに集中できず、文字起こしの手間もありました。また、分析の際には、どうしても自分の解釈が入りすぎてしまいます。さらに、しばらく経って別の角度から見直したくなっても、過去の記録を遡りにくいのも悩みでした。

── toittaは、どんなきっかけで知ったのでしょうか?

古海さん:KA法を学ぼうとしたときに、羽山さん(※)のセミナーに参加したのがきっかけです。自己流になっていたインタビューを、一からフラットに解釈できる方法は何だろうと参加したのですが、セミナーの中でtoittaが紹介されていて、興味を持ちました。

※日本ウェブデザイン株式会社 代表取締役CEO・羽山祥樹氏。toittaエヴァンジェリストとして活動いただいています。

── その後、実際にKA法をやってみて、どう感じましたか?

古海さん:やってみて実感したのは、全体感が分かることのありがたさです。いま取り組んでいる人材育成のテーマは、課題が多岐にわたっているため、どこから手をつければいいかが難しいのですが、それを一つのマップにできるのは大きな資産だなと感じました。一方で、圧倒的に時間がかかるな、とも思いました。これを一生やっていくのはかなり大変だぞ、と。特に大変な文字起こしから切片化までを任せられることが、toittaに一番期待したところでした。

── toittaを初めて触れたときの印象はいかがでしたか?

古海さん:まず、文字起こしの精度がすごく高いと思いました。切片化も忠実にやってくれるので、自分でやったときよりも精度が高く、かつ効率的にできる。決め手は、精度と効率に加えて、レポート機能の使いやすさでしたね。

toittaのレポート機能画面

「レポート機能」とは、任意に設定した設問やトピックに基づき、インタビューの発話から回答を自動生成する機能です。

toittaを導入し、工数・質・心理面の三つが変わった

── toittaを導入して、業務にどんな変化がありましたか?

古海さん:変化は大きく三つあります。まず工数です。KA法の下地づくりに1週間ほどかけていたものが、クリックひとつと、ちょっとした修正で済むようになりました。

── 二つめは何でしょうか?

古海さん:分析の質と解釈ですね。ここが一番価値を感じている部分かもしれません。自分では見逃していた発言も、ちゃんと切片化してくれるのでフラットに分析ができます。そのため、自分の解釈に引っ張られすぎない状態で価値マップをつくれる。自分の手で短時間でまとめると、後から「この解釈で合っていたんだっけ」と不安になりがちなんです。でも、toittaを使うとレポートやマップがすべての発言とつながっているので、いつでも元の声に立ち返って確かめられる。根拠がたどれる状態で解釈できるので、分析の質そのものが上がったと感じています。

── 発話に立ち戻ることで、自信を持って進められるということですね

古海さん:そうなんです。そして三つめが、心理的なハードルです。インタビューの重要性は理解しているものの、その後の分析の負荷を考えるとどうしても身構えてしまうんです。今は、その下地がtoittaでできているので、工数的にも心理的にも負担が軽減できています。分析が重荷でなくなったぶん、インタビューそのものに前向きに取り組めるようになりました。

インタビューの様子

個人の効率化から、チームの「共通言語」へ

── テーマが社内で認められて、メンバーも増えたと伺いました。

古海さん:はい。toittaのおかげで解決すべき顧客課題を特定できたことで、新規テーマの提案・承認獲得につながり、3名体制で進めることができるようになりました。新しく入ったメンバーには、まずtoittaで過去のインタビューやレポートを見てもらっています。そうすると、会話の中で「あの人ってこういうこと言ってましたよね」という感じで、その発言を元に議論が進んでいくことが増えてきたんです。toittaがあることで、そうした会話が生まれやすくなったと思います。

── 一人時代に積み上げたインタビューが、チームの共通言語になっているんですね。

古海さん:そう感じています。新しく入ったメンバーにリサーチの進め方を伝える際に、toittaを通じて「インタビューってこういう風にやるんだよ」と実例で見せられたのも良かったですね。チーム全体のインタビュースキルの底上げにもつながっています。

── toittaでよく使う機能はありますか?

古海さん:ask toittaはよく使いますね。壁打ちのように問いを投げかけることが多いです。特に、テーマを次のフェーズに進めるためには、他に優先度の高い課題はないのか、本当に費用を払ってでも解決したい課題なのかなど、複数の観点から問いかけられることがあります。そうした際に、すぐに追加でインタビューを行うのではなく、まずはask toittaで過去のインタビューに該当する発言があるかを確認できるのはありがたいですね。

属人化した声を組織のプラットフォームに

── 今後、toittaをどのように活用していきたいですか?

古海さん:ユーザーインタビューのデータをさらに蓄積し、今後の意思決定はすべてそのデータを拠り所に進めていきたいと考えています。実際のユーザーの声を根拠に課題とソリューションの整合性を確認しながら形にしていくことで、より着実に価値あるサービスを提供できると考えています。

── 部署内でプラットフォームとして活用される構想もあるそうですね。

古海さん:はい。ユーザーインタビューのデータが個人に属人化し、組織として十分に活用しきれていないケースがあります。これらのデータを統合し、部署全体でユーザーの声を蓄積・共有していくプラットフォームとしてtoittaを使っていけたら、と考えています。

── かつての古海さんと同じ課題を持つ方に、toittaをどうすすめますか?

古海さん:企画やリサーチ経験がないけれど、新規事業に挑戦したい人にとって、仮説検証を支えてくれる心強いサービスだと思います。また、既存事業でユーザーの声が溜まっているのに、どう活用すればいいか、どうソリューションに落とし込めばいいか迷っているという方にもおすすめです。


エンジニアから新規事業へ。古海さんの越境を支えてきたのは、ユーザーの声に向き合い続ける姿勢でした。積み上げた声は、チームの共通言語となり、次の意思決定を支える土台になっています。手探りの新規事業だからこそ、ユーザーの声を拠り所にする。その実践は、同じように挑戦する人の背中を押してくれるはずです。貴重なお話をありがとうございました!

古海さんとインタビュアー

撮影:小野奈那子

リサーチには、
リサーチのためのAIを。

リサーチャーが本来の価値を発揮する、新しい分析体験が待っています。toittaが生み出すインパクトを、ぜひ実感してください。

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