全国の生産者から食材や花などを直接購入できる産直通販サイト「食べチョク」をはじめ、生産者の顔が見える冷凍食品ブランド「Vivid TABLE」ネットスーパー「食べチョク ドットミィ」などのサービスを展開する株式会社ビビッドガーデン。ユーザーや生産者の「生の声」を大切にしてきた同社では、インタビューを起点に事業を磨き込む文化が根づいています。一方で、散在するデータをどう事業に活かしていくかといった悩みも抱えていました。今回は、リサーチ・新規事業・プロダクトマネジメントを担う3名に、ユーザーの声の活かし方と、toittaがもたらした変化について伺いました。
ユーザーの声が当たり前に飛び交う、リサーチドリブンな組織文化
── はじめに、みなさんの役割について教えてください。
土井さん:広報PR部のマネージャーとして企業コミュニケーション全般を担当しつつ、リサーチ室も兼務し、事業課題から逆算したリサーチ設計と、その結果をプロダクトや施策に反映していく役割を担っています。
山之口さん:「Vivid TABLE」などの新規事業開発を担当しています。事業全体の設計から、顧客対応・集客まで幅広く担っています。
軸屋さん:「食べチョク」のプロダクトマネージャーを経験したのち、新規事業チームで「Vivid TABLE」と「食べチョク ドットミィ」の立ち上げに携わっていました。現在は新設された事業支援部のマネージャーとして、カスタマーサポートや、全社の生産性改善、プロジェクト管理などを通じて、事業をバックエンドから横断的に支えています。
── 社内では、どのような形でユーザーインタビューが行われているのでしょうか?
土井さん:「食べチョク」はサービス開始から8年目を迎え、個人のご家庭用からギフト利用まで、幅広い方にご利用いただくサービスへと成⻑してきました。ユーザーさんが「なぜ食べチョクで購入するのか」という根本的な理由の解像度を上げることを目的に、定期的にインタビューを行っています。新規事業の立ち上げ時や、既存事業の見直しのタイミングでも必ずインタビューを実施し、意思決定の前提となるインサイトを集めています。

山之口さん:新規事業の文脈でも、リサーチは立ち上げフェーズから当たり前のように組み込まれています。「まず顧客に聞いてみよう」という発想が自然に出てくるので、リサーチは検討プロセスの一部として位置づいている感覚ですね。
── 元々、ユーザーの声を聞くことは活発だったんですか?
軸屋さん:はい。ユーザーインタビューは、新規事業の探索や仮説検証、UIUX改善など、さまざまな場面で実施されています。「食べチョク」がプロダクト主導型のサービスであることや、経営陣が前職からユーザーインタビューの文化に触れてきたことが、今の土台になっているのだと思います。
アンケートでは見えてこなかった、生産者のリアルな悔しさ
── 具体的には、どのようなユーザーに話を聞いているのでしょうか?
軸屋さん:インタビュー対象は消費者だけでなく、生産者にも広がっています。例えば、ここ数年クマの出没が増え、被害に悩まされている生産者さんにアンケートとあわせてインタビューを行いました。アンケートだと「被害が増えている」「損失が出ている」といった事実レベルの情報は分かるのですが、実際にお話を伺うと、「クマにラ・フランスを2トン食べられた」「収穫直前の一番おいしいタイミングを狙われる」といった、現場の具体的な状況や本当のお気持ちが見えてきたんです。
── アンケートだけでは、分からない情報ですよね。
軸屋さん:こうした生々しいエピソードがあったからこそ、被害を受けている生産者さんに全額寄付ができる「応援チケット」や一部寄付付き商品の企画につながり、テレビや新聞の取材にも発展しました。取り組みを通して、生産者の方から「自分たちの苦労を食べチョクが拾ってくれたことが本当にうれしかった」と、涙ながらに感謝の言葉をいただいたのがとても印象に残っています。

バラバラだったインタビューを一元管理し、ファクトベースな議論へ
── toitta導入前はどんな課題がありましたか?
軸屋さん:一番大きかったのは、インタビューデータがあちこちに散らばっていたことです。録画データや議事録などの情報が、新旧部門の各プロジェクトフォルダに分散して保存されている状態で、リサーチデータとして一元管理ができていませんでした。また、インタビューは基本的にインタビュアーと議事録担当の2名体制で行っていたのですが、ユーザーさんが勤務を終えられた夜の時間帯のインタビューは、社員のアサインが大きな負担になっていました。
── 議事録担当としてのアサインも必要だったんですね。
軸屋さん:はい。ただ、手作業で書いた議事録は、どうしても作成者の主観が入りやすいという課題も感じていました。あとから別のメンバーが読んだときに、「ファクトなのか、解釈なのか」が分かりにくいということもありました。ユーザーの生の声をそのまま共有しにくいので、議論も「たしかこんなニュアンスだったはず」という記憶頼みになりがちでした。
── toitta導入後は、どのように変わりましたか?
軸屋さん:インタビューデータがtoitta上で一元管理され、どこに何があるか分からないという状態から解放されました。録画・文字起こし・要約・切片がひとつの場所でまとまっているので、インタビューごとに資料を探し回る必要がありません。また、書き起こしの精度が信頼できるので、1名体制でもインタビューを安定運用できるようになり、工数が大きく削減されました。記録はtoittaに任せて、話を聞くことに集中できるようになった感覚があります。
「国産だから選ぶ」切片から見つけたユーザーの声が新規事業を磨き込む
── 山之口さんは入社直後から、すでにあるtoittaのインタビューデータから気づきを得られたとか?
山之口さん:冷凍宅食領域の新規事業「Vivid TABLE」のリサーチで、「なぜこのサービスを選んでいるのか」を深掘りしたときのインタビューデータが印象的でした。当初は「食べチョクがやっているから安心」「ブランドへの信頼で選ばれている」という仮説を持っていたんです。でも、toitta上で切片を横断的に見ていくと、「国産食材だから安心」「家族に出すものは国産にしたい」といったフレーズが何度も登場していたんです。
── 仮説と実際の声に、ギャップがあったと。
山之口さん:そうなんです。「食べチョクだから」ではなく、「国産だから」という軸が強く出ていたんです。この気づきが、事業のエッジをどこに立てるかを考える上で大きなヒントになりました。toittaで切片を横断的に見返したことで、「これは事業価値のコアかもしれない」と気づけたと感じています。コンセプトや訴求の言葉も、よりユーザーの実感に近いものに磨き込むことができました。

生々しさを共有できるtoittaはリサーチの相棒
── リサーチ全体を見ている立場から、toittaの価値をどう感じていますか?
土井さん:toittaは、定性リサーチ業務の相棒のような存在です。導入前は、録画データをダウンロードして、別ツールで文字起こしをして、また別の場所で共有して……という分析の前処理にかなりの時間を取られていました。その間に次のインタビューが始まってしまうなど、せっかくのインタビューが全社共有されずにプロジェクトの中だけに閉じてしまう感覚もあり、もったいないなと感じていました。
── 導入後は、どの部分が変わりましたか?
土井さん:Googleドライブとの連携でアップロードから文字起こしまでが自動化され、分析や解釈に割ける時間が増えました。また、動画とテキストを同時に確認できるので、言葉だけでは伝わらないニュアンスをチームで共有しやすくなりました。声のトーン、間、笑い声やため息など、ユーザーの感情の生々しさをそのまま見せられるのは大きいですね。こうした温度感をチームで共有できると、ユーザーや施策に対する解像度が一段と上がる感覚があります。

「Googleドライブ連携」とは、任意のGoogleドライブフォルダのURLをtoittaのプロジェクトに登録することで、フォルダに追加された動画ファイルが自動でtoittaにアップロードされるようになる機能です。
── 施策にも変化はありましたか?
土井さん:はい。「食べチョク」のリピーターの方に行ったインタビューでは、「週末に家族と料理をする時間が楽しみ」「忙しい日の自分へのご褒美にしている」といった、暮らしのシーンに紐づいた「食べチョクをリピートしてしまう理由」がいくつも見えてきたんです。
以前は「今が旬の〇〇」という品目中心の打ち出しが多かったのですが、最近は「どんな時間を過ごしたい人に届けたいのか」という利用シーンを軸にメルマガや特集ページを組み立てるようになりま した。たとえば「週末のちょっと特別な夜ご飯」や「忙しい平日の味方になるセット」など、ユーザーの生活に寄り添うストーリーを意識しています。ユーザー理解の深まりが、単なる産直ECから、一人ひとりにフィットする提案ができるサービスへの進化を後押ししていると感じています。
ユーザーの声を、全社員の資産とモチベーションの源泉に
── 今後、toittaやリサーチをどのように活用していきたいと考えていますか?
山之口さん:新卒やキャリアの浅いメンバーのチームビルディングにも、インタビューデータを活かしていきたいです。自分の仕事がユーザーにどのように喜ばれているかを、toittaを通じて見てもら うことで、事業に関わる面白みを持ってもらえるはずです。
軸屋さん:企画職だけでなく、もっと広く全社員がユーザーの声に触れられる状態をつくっていきたいですね。toitta上のインタビューをきっかけに、エンジニアやバックオフィスのメンバーも含めて サービスをどう良くしていくかを話せる場が増えると、よりユーザーファーストなサービス開発に近づけると感じています。
土井さん:プロジェクト単位で完結させるのではなく、資産価値の高いインサイトを全社的に共有し、横串で活かしていくことが今後のテーマだと思っています。そのためにも、「とりあえずtoittaを開けば、ユーザーの大事な声が揃っている」という状態をこれからも育てていきたいですね。

ビビッドガーデンでは、ユーザーや生産者の声を、toittaを通じて探しやすく、共有しやすくしたことで、事業コンセプトや施策の判断材料として自然に使われるようになっていました。リサーチを特別なイベントではなく日常の意思決定に組み込んでいく中で、toittaが確かな土台として機能していることが印象的でした。軸屋さん・土井さん・山之口さん、貴重なお話をありがとうございました!
撮影:小野奈那子