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2025-05-20

みんなで作る半構造化インタビューベストプラクティス - toittaハイブリッドセミナーレポート

みんなで作る半構造化インタビューベストプラクティス - toittaハイブリッドセミナーレポート

2025年4月8日、toittaチームでは「みんなで作る半構造化インタビューベストプラクティス」と題したハイブリッドセミナーを開催しました。UXリサーチの現場で重要な半構造化インタビューについて、各分野の専門家とともに実践方法や工夫のポイントを議論。オンラインとオフラインを合わせて100名以上の方にご参加いただきました。

イベント概要

登壇パート:toittaエバンジェリスト・日本ウェブデザイン株式会社代表取締役の羽山氏による「半構造化インタビューとは何か」についての基調講演

座談会パート:羽山氏に加え、Mantra株式会社の山中氏、株式会社天地人の仁科氏、コネヒト株式会社の田中氏を交えた実践的な知見の共有

司会はtoitta事業責任者の米山が務めました。

toittaについて

toittaは「ユーザーがなんといったかに深く向き合える」をコンセプトとした生成AIを活用した発話・分析ソリューションです。toitta自体が半構造化インタビューから生まれたプロダクトで、新規事業立ち上げのために年間240人以上の方にインタビューを行った経験から誕生しました。2024年7月にベータ版、同年10月に正式版をリリースし、セミナー開催時点で「生後8ヶ月」となっています。

toittaにご関心がある方は、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください

登壇パート - 半構造化インタビューの基本と実践

ゲスト
日本ウェブデザイン株式会社 代表取締役CEO
toittaエバンジェリスト
羽山祥樹(はやまよしき) 氏

HCD-Net認定 人間中心設計専門家。使いやすいプロダクトを作る専門家。担当したWebサイトが、雑誌のユーザビリティランキングで国内トップクラスの評価を受ける。2016年よりAIシステムのUXデザインを担当。専門はユーザーエクスペリエンス、情報アーキテクチャ、アクセシビリティ。ライター。NPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事。IBMの社外アンバサダーであるIBM Championの認定も受ける。翻訳書に『メンタルモデル──ユーザーへの共感から生まれるUX デザイン戦略』『モバイルフロンティア──よりよいモバイルUXを生み出すためのデザインガイド』(いずれも丸善出版)、著書に『現場で使える! Watson開発入門──Watson API、Watson StudioによるAI開発手法』(翔泳社)がある。

参考: 日本ウェブデザイン株式会社の羽山祥樹氏、タグチマリコ氏が「toittaエバンジェリスト」に就任しました

羽山氏による基調講演

基調講演では、半構造化インタビューの基本概念と実践方法について解説がありました。「スクリプトを定めつつも、アドリブ的に掘り下げていく」という特性が、ユーザーの本音を引き出す上で重要だと羽山氏は語ります。

羽山氏が紹介する半構造化インタビューの重要ポイントは、次の3つです。

基本概念: 1時間のインタビューでは6〜10問程度の軸となる質問を用意し、柔軟に掘り下げる。構造化インタビューのように質問を固定せず、非構造化インタビューのように完全に自由でもない、その中間に位置する手法であることを図解を交えて説明。

羽山氏の基調講演スライドから

質問設計: 「それを聞いたら何が解決できるのか」という視点で設計する。特に「なぜ」「どのように」といったオープンクエスチョンを活用し、Yes/Noで終わらない質問設計の重要性を強調。

会話術: 「ミラーリング」など相手の発言に適切に反応する技術。相手の言葉をそのまま繰り返すことで、より深い説明を引き出す効果があることを実例を交えて紹介。

「インタビューはアドリブが苦手な人でも、パターンを頭に入れておくことで上達できる」という言葉で締めくくられました。また、インタビュー中の沈黙を恐れず、相手の思考を待つ余白を作ることの重要性も強調されました。

座談会パート - 実践者たちの知見共有

座談会パートでは、羽山氏に加えて以下の3名のゲストが登壇しました。

コネヒト株式会社 プロダクトマネージャー
田中 俊也(たなか としや)氏

「ママリ」アプリのプロダクトマネージャー。2021年に入社し、当初はエンジニアとして、2024年4月からはプロダクトマネージャーとして活躍。子育てに悩むママを対象に、先輩ママや同じ状況のママが回答してくれるアプリを担当。ユーザー訪問インタビューなど、現場に根ざしたUXリサーチを実践し、特に女性ユーザーの生活環境を理解することに注力している。

株式会社天地人 クリエイティブ部マネージャー
仁科 智子(にしな ともこ)氏

UXリサーチャー、UXデザイナー、UIデザイナーとして活躍。衛星データを活用し、地表面温度や地形のデータと水道管のデータを掛け合わせて漏水リスクを予測するサービスを担当。前職ではビジネスチャットを開発する会社でUXリサーチチームの立ち上げやリサーチOpsの設計を担当。半構造化インタビューの実践と分析手法に精通し、特に技術的な背景を持つユーザーへのインタビュー手法に強みを持つ。

Mantra株式会社「Langaku」 事業責任者・プロダクトマネージャー
山中 武(やまなか たけし)氏

編集者、マーケティングプランナーを経て、2019年よりMantraに合流。現在はマンガ×英語学習アプリ「Langaku」の事業責任者とプロダクトマネージャーを兼務。継続的なユーザーヒアリングなどを通じて、プロダクト開発の方針決定を行う他、実務としてUX・UIデザイン、マーケティングまわりのディレクションなども担当。

座談会の模様をYouTubeで限定公開

座談会の様子を、YouTubeで限定公開しています。こちらのフォームからご入力いただくと、限定公開動画にアクセスできますので、本記事とあわせてぜひご覧ください。

成功体験と失敗から学ぶ

山中氏は「インタビュー対象者の人生や生活が見えるような情報が得られた時」に成功を感じると共有。具体例として、子供が英語嫌いになる理由を3年間のスパンで把握できたケースを紹介し、カリキュラム変更の影響で中学英語が急に難しくなり挫折する背景が見えたことがアプリ開発に大きな示唆を与えたと語りました。

田中氏はユーザー宅訪問インタビューの価値と、女性ユーザー宅訪問時の男女比配慮の重要性について言及。ユーザーの生活環境を直接見ることがプロダクト改善へのモチベーション向上につながったと共有しました。

インタビュー実践のポイント

羽山氏は「脱線」と思われる話題でも、ユーザーの中では一連の話として繋がっている可能性があり、不用意に話を切らないことの重要性を強調。一見脱線したように見える話も、重要な洞察につながることが多いと指摘しました。

山中氏は「合気道のような感覚」と表現し、相手の勢いに合わせることの重要性を強調。また、AIを活用したインタビュー準備として、X(旧Twitter)のGrokを使った仮想インタビューで周辺知識を効率的に獲得する方法を紹介しました。

田中氏はAIを質問設計の壁打ち役として活用する方法や、初心者は身近な人とのインタビュー練習から始めることの有効性を共有しました。

toittaの活用事例

各ゲストからtoittaの活用方法も共有されました。

山中氏は、CSVでダウンロードしたデータをAIで分析することで、従来2〜3時間かかっていた作業が30分程度に短縮された事例を紹介。仁科氏は、グルーピング機能を活用することで、1時間のインタビュー分析時間を従来の3分の1以下にまで短縮できたと語りました。

また、田中氏は、切片データをMiroに貼り付けてチームで共有したり、クロスレポート機能を使って複数のインタビュー結果を俯瞰したりする方法を共有し、ツールの多様な活用法を示しました。

実践力向上のコツ

実践力向上のコツについて、各登壇者から具体的なアドバイスがありました。

田中氏はまず身近な人との練習から始めて、基本的な流れやトラブル対応の方法を学ぶことの重要性を語り、仁科氏は 「塩対応」の相手との練習を通じて少ない返答から情報を引き出す技術を磨く方法を提示。

山中氏は数をこなすことに加え、2人1組でのインタビューで互いにフィードバックし合うことの価値を強調しました。さらに、羽山氏はユーザーの予想外の反応をネガティブに捉えるのではなく、「やられた感」として楽しむマインドを持つことが大切だと述べました。

座談会録画・クロスレポート結果の無料公開について

本セミナー座談会パートの録画と、クロスレポート結果のCSVデータ1を無料で公開中。インタビュー分析の効率化についてより深くご理解いただけます。

こちらのフォームからご入力いただくと、限定動画とレポート結果にアクセスできます。ぜひ、お手元で内容をご確認ください。

toittaのクロスレポート機能で、半構造化インタビューの分析が劇的に効率化!

toittaのクロスレポート機能を用いると、グループインタビューや、1対1でのデプスインタビューの発話者について「それぞれの発話者が何を語ったのか」を、わずか5分ほどで比較表にして出力することができます。

本記事を執筆するにあたり、座談会をグループインタビューに見立て、録画からtoittaのクロスレポート機能で要点を抽出してみました。

座談会の録画をtoittaのクロスレポート機能にかけると、わずか5分で「それぞれの登壇者が何を語ったのか」をテーマごとに比較表にすることができます。例えばテーマ「『うまくいった!』『すごい発見があった!』と感じたインタビューのエピソード」については、下記のように整理されました。

toittaのクロスレポート機能で、それぞれの発話者が何を語ったのか横串で比較できる

toittaのクロスレポート機能について、座談会の録画データを用いた実例をご紹介しました。

実際のユーザー調査では、グループインタビューや、1対1のデプスインタビューにクロスレポート機能を用いることで、調査終了からわずかの時間で比較表を出力することができます。

まとめ

今回のセミナーでは、半構造化インタビューの実践における多様な工夫やノウハウを共有することができました。「カチッと決まった手法ではない」からこそ、各自の試行錯誤や創意工夫が重要であり、そうした知見の共有が業界全体のリサーチの質向上につながります。


  1. 実際のクロスレポート結果から固有名詞等を一部修正しています。

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